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書評『1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE』投資だけではFIREできない理由

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みなさんこんにちは。

FIREを目指す動機は人それぞれあるけれどやっぱり「仕事を辞めて自由になりたい」というのが1番多いのではないでしょうか。私はFIREに興味を持ってせっせと毎月の給料を株式投資に回しているんですが、この度、そんな地道な積み上げに対して「それだけじゃFIREできないよ」と痛烈な一言を浴びせてくる書籍に出会ったんです。

それが今回紹介する書籍『1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE』です。

株式投資してればFIREできると思っているサラリーマンには、耳が痛いフレーズ満載の一冊です。

「仕事が嫌でFIREしたい」そんな昔の自分に伝えたい

本書「1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE」の著者はブロガーのヒトデさんです。ヒトデさんは週5日の会社勤めが嫌で嫌で仕方がない日々を送っていましたが、趣味で始めたブログ運営をきっかけに29歳でFIREを達成されました。そんなヒトデさんが実際にFIRE生活を体験されて、FIREを志していたあの頃の自分に伝えたいと書いたのが本書なのです。

本書はビジネス書でありながら物語形式で構成され、難しい言い回しは一切なくテンポの良い文章で書かれています。私もスラスラと読み進めることができ、半日かからずあっという間に読み終えました。読書経験の浅い方にも読みやすい一冊です。

本書のあらすじ

会社が心底嫌でFIRE目指し株式投資に励んでいたサラリーマンの智也。ある日、智也の前に1匹のネコ「小鉄」が現れます。何度も生まれ変わり1万回目の生を受けた小鉄はなんと人間の言葉を話すことができるようになっていました。小鉄はこれまで出会ってきた「FIREに成功した飼い主と失敗した飼い主」の事例を出しながら「幸せなFIRE」に必要なことを智也に伝えます。

株式投資だけではFIREできない理由

さて、今回の主旨に入るのですが、一般的にFIREするなら株式投資が王道の手段とされていますよね。でも本書ではそれだけでFIREすることは難しいと言っています。そしてその裏付けとして小鉄はFIREに失敗した2人の事例を紹介してくれます。

ケース①:資産が足りるか不安でFIREに踏み切れない

1人目はエリートサラリーマンの西村賢一さん(35歳)。贅沢な生活をせず投資を続けてきた賢一さんは35歳にして資産6000万円を貯め、「4%ルール」に則ればFIREできる資産水準にありました。

しかし、その頃の株式市場はちょうど下落相場の最中。前月比3%減と表示された証券口座を見た賢一さんは毎日パソコンの前で腕組みしたままFIREに踏み切れずにいました。これまで資産を増やし続けてきた賢一さんは、資産を取り崩すということに大きな恐怖を感じていたのです。

慎重な賢一さんは資産を取り崩す不安感を拭い去れず

  • あと1000万円増えたらFIREしよう
  • あと3年働くと退職金が1段階増える
  • ここまで来たら大台の1億円までいってから決断しよう

と決断を先延ばし続けました。結果的に50歳でようやく退職を決意することができた賢一さん。かつての同僚や周囲の人間には羨ましがられ、退職後の生活はとても順風満帆に見えました。でも彼の心にはある後悔が残っていたのです。

会社に身を捧げ、資産を築くことばかりに時間を使ってきた結果、体にはガタがきている。若い頃のようにもう無茶できない。

もっと若いうちに人生を謳歌したかった…

ケース②:FIRE後に市場が暴落!不安で眠れない

2人目は伊藤真司さん(38歳)。資産5000万円を貯めて夢のFIRE生活をスタートさせました。

しかし1年後に株式市場が大暴落。資産は約20%も目減りしました。資産形成中であれば安く買えてラッキーと思えていた真司さんも、資産収入を頼りに暮らしている今は相場の動向が気になって仕方ありません。

その後、しばらく好調な相場が続いたものの再び大きな下落があり資産は25%も目減りしました。

この調子でいつまでも復活しなかったら…

お金のことなんてもう気にしなくていいと思っていたFIRE生活でしたが、資産運用だけが収入の柱になったことで、真司さんは以前よりもお金で神経をすり減らし、かえってお金に縛られるようになってしまいました。

資産が減る不安に耐えられない

2人に共通しているのは資産が減る不安に耐えられないということ。

「資産はまだ十分な金額じゃないかもしれない」と盤石なFIREを求めればずるずると機を逃し、一方で決断が早すぎると生活資金がショートしてしまう。

いざ当事者になると4%ルールがこれからの未来でも必ず当てはまる保証はないと思えてくるし、相場の暴落はいつか復活するだろうと過去の歴史から学んでいても、収入を資産運用だけに頼っていると気が気ではないのです。実際、ケース②の真司さんは自身の状況に耐えかねて仕事復帰しました。

この2人のケースは投資を頼りにFIREしようとするサラリーマンならいずれ通る道であり、とても他人事ではありません。これが株式投資だけではFIREできない理由です。

株式投資で努力した気になっていないか?

本書では、智也のFIREに対する甘い考えを小鉄が辛口コメントでバッサリと切り捨てるシーンが何度も登場します。

例えば智也が「毎月5万円、ボーナス月は10万円も積立投資をしている。自分の周りでは極少数派だ」と胸を張るシーンがあります。ですが小鉄はそんな智也を一刀両断します。

文句を言いながら会社に行って、毎月自動で積み立て投資をしてることの、どこが頑張ってるんですか?

1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE

読者の中には、サラリーマンでつみたてNISAをしながらFIREを目指しているという智也の姿に、自分を重ね合わせる方もいるでしょう。私自身、こつこつ積立投資を続ければいつかFIREできるという智也の考えには「え、そうでしょ?」と共感していました。でも小鉄はそんな智也や読者の甘い理想にまるで容赦がありません。

智也という感情移入しやすい主人公のおかげで、小鉄のコーチングを一緒に受けている気分になれるのが本書のまさに面白いところなんです。

株式投資って極端に言えば、ネットでボタンをポチポチしているだけなんですよね。それだけをしてたって自分の収入が増えるわけでも、支出が減るわけでもない。資産がどうなっていくかは今後の世界経済に任せっきり。もしFIREしようとしたときに運悪くどん底の相場に当たったら仕方ないと諦められるのでしょうか。(自分の人生はこの1回しかないのに?)

本書が伝えたいのは、決して株式投資はいらないということじゃない。せっかく将来を見据えて資産運用を始めたのに、これさえ続けていればいつかFIREできると慢心しそこで歩みを止めてほしくないということなのです。

刃を研ぎ続けよう

本書の言う必要な努力とは、やりたい仕事で稼げるようになるということ。

人間は社会とのつながりがあるときに幸せを感じられるのであり、FIREに必要なのは結局、仕事と位置付けられています。でもそれはただの仕事ではなく、自分が生き生きと続けられて他者に貢献できることでなければなりません。

FIREにおける株式投資とはいわば「守り」であると感じました。資産形成が進めば進むほど余裕が生まれて「好きな仕事」で稼がなければならない生活費のハードルは下がっていく。

でも人生を充実させたいなら、どこかで攻めるに転じることを忘れちゃいけない。

株式投資を始めたての頃は積み上がっていく資産額を眺めるのが楽しくて仕方ない時期だし、投資について学ばなきゃいけないこともたくさんある。他のことを考える余裕はないかもしれません。

だから、ちょうど投資している生活に慣れてきた頃。証券口座を開く回数が減ってきたと感じ始めた頃。

攻める準備を始めよう

偉そうに言ってる私も別に副業で稼げているわけじゃないんですけどね。でも主体的にやり始めた仕事で生涯生活し続けられるのってとてもワクワクして幸せなことだと思うので。

刃を研ぎ続けることは忘れちゃいけないなぁ、本書を読んでそう思いました。

今回紹介したFIRE失敗事例の他にも、極端に支出を削ってリーンFIREした例、ブログで成功してサイドFIREした例などもあります。興味があればぜひ読んでみてください。

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